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作者紹介
JOKA
10歳で「The Slider」に出会い、7枚聞き潰す。
15歳の時マーク・ボラン没(享年29歳)。
人生の目標を失うも、数年後、聖跡 Lexham Garden/Barnesに滞在(第二次ボラン・ブーム)
現在は第三次ボランブームに突入中。

お前の靴はクソだな・・孤独なコズミック・パンク

TEXT BY JOKA

「T.レックスがビートルズの再来だって?ビートルズすら、あれほど女の子に騒がれたことはないね。」(リンゴ・スター)
「T.レックスはドイツではヒットラー以来の大物と言われたよ。」
(マーク・ボラン-1972)
1971-1973年、英国、いや全ヨーロッパはT.レックス一色でした。チャート、音楽賞、人気投票も総なめにし、英国の総レコード売り上げの6%をT.レックスが占めるほど。マークの夢はかない、ただの「スター」ではなく、「スーパースター」になったのでした。

そして、マークの大好きな、有名人との交友。

    「マークはものすごいネーム・ドロッパー(有名人の名前を語るのが好きな人)だった」
    (エリック・ホール-EMI)

    「マークはスポットライトを浴びるのが大好きだった。そのとき一緒にいる人物が有名なら有名なほど喜んだ。」 (キース・オールタム:マークの広報)

実際のところは
「リンゴとマークはしばらくの間は親しかったが、マークがジューンと別居してから会うことはなくなった。ハリー・ニルソンはマークの、というよりリンゴの親友だった。

アリス・クーパーとマークは挨拶する程度の仲で、お互いのことはほとんど知らなかった。

エルトン・ジョンとは親しかったが、彼もまた、マークとジューンが別れてから、去っていった。

ジェフ・リンとロイ・ウッド(ELO)はときどき遊ぶだけの、気まぐれな友人。スティーブ・ハーレー(コックニー・レベル)とはしばらく一緒にいたようだが、実はそれほど親しくなかった。」 ミッキー・グレイ(マークのローディ)

マークの交友関係を支えていたのは彼自身より、むしろやり手の妻、ジューンだったようです。

「ボーン・トゥ・ブギーはマークとリンゴのエゴのぶつかり合い映画さ。どっちが目立つかっていう。」
「一番まいったのはエルトンの誕生パーティだった。マークはバースデーカード代わりに自分のウェンブリー・コンサートのどでかい看板を送ったのさ。エイビス・トラックに載せて、ローディに配達させて。それはまるで、『君がここにいればいいのに・・・俺様がグレイテストだ。』って言ってるみたいだった。雰囲気読めないだろ。結局、看板は庭のプールに沈められちゃったけどね。」 スティーブ・カーリー(T.レックス)

結局、芸能界でマークにとって親友といえるのは、15歳の頃からのモッズ仲間、DJのジェフ・デクスターだけ。

「昔からの知り合いだからね。彼の大ぼらに呆れることもないのさ。」
(ジェフ・デクスター)
そしてもう一人、マークにしては珍しく長きに渡る友情を結んだスターがいます。

お前の靴はクソだな・・・親友/ライバルとの出会い

1966年、音楽事務所で、二人の無名の野心家の会話。やせぎすで長身・長髪の若者は、背の低い、モッズのマークと対照的です。
    若者 「君は誰?」
    マーク 「俺はシンガーだ。」
    若者 「ふん、俺もさ。君はモッズ?」
    マーク 「そうだ。モッズの王様だ。・・・お前の靴はクソだな。」
これがマークとデビッド・ジョーンズ(後のボウイ)との出会いでした。
この後、マークはデビッドに最新ファッションを手に入れる秘訣―カーナビー・ストリートのブティックのゴミ箱あさり―を伝授し、二人は長きに渡る友情で結ばれることになります。
長くて、複雑で・・屈折した友情で。


マークはコズミック・パンク?

マークの言動はメディアには常々「傲慢」と言われてきました。しかし、今みると、(パンク登場のずっと以前から)自称していた、「コズミック・パンク」かくありき、という感じです。いくつかマークのパンクっぷりを示すエピソードを。(ここではマークの一人称を「俺」とすることにします。)

1971年 ロサンゼルスのウィスキー・ア・ゴーゴーにて

T.レックスの演奏はものすごく音量が大きく、しかも下手。
曲の合間のマークのMCはアメリカ人にとっては、もろ「英国のオカマ」のアクセント。
後期ビーチボーイズのメンバー、ブルース・ジョンストンが、たまりかねて、ロックの先輩として、アドバイスをしに、楽屋に行った。
ブルースのマークの印象は「少女みたいな顔で、しとやかな英語を話す青年」
しかし実際のマークの言葉は「F*ck off, man. あんたは本物のビーチ・ボーイズですらないじゃないか。俺はお前のクソなんて聞きたくないね。」
ブルースは、しばらく唖然としていたが、正気になると楽屋から飛び出していった。

ミック・ジャガーにセクハラ?

1972年のある日、ローリング・ストーンズのバックステージ・パスをキース・オールタム(広報)から貰ったマークは、大喜びでステージに上がる直前のミック・ジャガーの楽屋を訪ねる、と言い出した。
    キース・オールタム「演奏前は神経質になってるから止めたほうが・・」
    マーク「いや、平気、平気。」
    マークが楽屋に入ってドアを閉めた直後、ミック・ジャガーの悲鳴が。
    ミック「こいつをつまみ出せ!」「こいつは俺のタマを握ったんだぜ!!」

    逞しい警備員が二人、マークのそれぞれの腕を抱えて楽屋から引きずり出した。
    マークは空中で足をばたばたさせながら、激怒したミックに「あんたのタマがそんなに神聖だとは知らなかったよ!」とわめき続けていた。

レコードウィークリー 1972年1月1日号より

高級ホテルの豪華なバーにて。商談を終えたビジネスマン達が一杯やっていた。そこに擦り切れた毛皮のコートにグリーンのハイヒールといういでたちの、痩せた、縮れ毛の女性が入ってきた。見るからに売春婦ファッションの彼女に、4人の紳士が一斉に叫ぶ。
「彼女を捕まえろ!」
毛皮の女性は5フィートそこそこの短躯をいっぱいに伸ばして、こう言い放った。
    「一年かそこいらしたら、お前らみたいな連中が、50人は俺に仕えるようになるんだ。人を怒らせる前に、外に止めてあるロールスロイスから降りてくる俺様の姿を見て、ちょっとは敬意を払うんだな。」
ビジネスマン達は、「彼女」が実はロック・グループ、T.レックスのマーク・ボランだと悟ったのだった。彼らにとっては間違いなく、ユニークな体験だったろう。

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